アナリストのつぶやき

2017年5月19日

個人投資家の皆様、ぜひ企業のHPにあるIRページを活用して株式投資を楽しんでください

「貯蓄から投資へ」と言われて久しい。るいとう(株式累積投資)やNISA(ニーサ。少額投資非課税制度)などの制度導入も、預貯金偏重型の個人の金融資産を分散させたいとの趣旨から始まっています。売買単位の引き下げやインターネット・トレーディングの導入なども、利便性の向上への取り組みと言えます。ただし、金融資産を多く持つシニア層にとっては、インターネット自体への馴染みが薄い上に、株式投資はリスクが高いとのイメージのみが強く残っています。一時NTTの上場により個人が株式市場にシフトする機会もありましたが、売出後の株価低迷やバブルの崩壊の影響もあり、個人投資家の株式保有比率はその後も20%前後で推移し、直近では17%台(東京証券取引所「2015年度株式分布状況調査」より)となっています。「投資家育成を疎かにしてきたから」と、他人事のように言うのもいいのですが、株式投資の恩恵を享受できないのも勿体ない話だと思います。

個人投資家が株式投資を行う目的としては、配当金や株主優待を得るためのものと、株の値上がりを期待するものとに大きく分かれます。当然配当かつ値上がり益の両方を狙うこともあります。

配当利回り(一株当たり年間配当金÷株価)が1%以上、なかには3%以上の銘柄もあり、その水準は低金利の預金金利では期待できないものであります(2016年東京証券取引所第一部の単純平均配当利回りは1.81%。東京証券取引所「統計月報2017年3月号」より)。これに株主優待も加われば、さらに高い実質利回りが期待できます。配当利回り銘柄や株主優待を投資判断の参考とする本も出ていますので、ご参考ください(日興アイ・アールではビジュアル情報誌「見て楽しい株主優待」を発行しています)。

値上がり期待での株式投資で鍵となる銘柄選びについては、株式関係の新聞や情報が参考となります。ただし情報が玉石混交であることから、個人としては何を信じればいいのか、迷うところであります。銘柄を発掘するには、アンテナを張るしかなく、発信される情報についてもよく吟味することが必要であります。しかし私としては、個人投資家にぜひ上場企業のホームページ(HP)に掲載されている「株主・投資家向け情報(IR情報)」に注目していただきいと考えています。

インターネットが普及する前までは、個人が上場企業のIR情報を知る方法は、企業の発表している決算短信や有価証券報告書、または証券会社の発行している企業調査レポート、またはIRセミナーへの参加など、非常に限られたものでありました。しかも情報そのものを入手することも難しいものでした。しかし今日では、企業の発表する決算短信や有価証券報告書、株主通信はインターネット上で入手できるだけでなく、プロの投資家向けに行われる決算説明会の資料、さらには企業が投資家向けに発信するIR情報も入手できるようになってきました。個人投資家でもこれらを活用することで、銘柄選択が行えるようになっています。

ただ残念なことに、決算短信や有価証券報告書、さらには株主通信を、同じパターンで発信し続けている上場会社が散見されます。また個人にとっては、証券用語や財務などの専門用語になじみがないことから、簡単に読みこなすことが難しいケースも多くあります。しかし自分には関係ない、苦手であるとして、企業が発信するIR情報を使わないのは、これまで企業調査やIR支援を行ってきたものとしては、非常にもったいないことだと思います。

実際に投資する銘柄を発掘する方法としては、個人の場合はなじみのある企業名からまず探してみることでもいいと思います。しかしこの方法だと、どうしてもBtoC(消費者向け)の銘柄が中心になり、BtoB(企業向け)の銘柄を発掘することが難しくなります。銘柄選択の幅を広げるため、まず新聞等を読んで気になる銘柄から調べてみることをお勧めします。銘柄名が出てきたら、ぜひ各社のHPに行って、「株主・投資家情報」または「IR情報」を見ていただきたい。

企業としては投資家の皆さんに自社を知ってもらいたいために、HPで沿革から事業内容についてわかりやすく説明しようとしています。また決算説明会資料が開示されていますと、決算の分析や収益見通しについて会社側の考えが書かれています。最近では、積極的に自社の中長期の目指す方向や計画を開示するようになってきています。企業の収益力向上への取り組みや資本効率向上への取り組みなどを理解することにより、その銘柄が自分の投資対象としてふさわしいものかどうか判断していただければと思います。また配当政策を含めた株主還元についての考え方をみることにより、安定配当なのか、収益連動型の配当なのか、ある程度理解できます。少なくとも、投資家対応を充実させようとしている会社は、投資家を意識している証でもあり、収益力改善への意欲や将来への取り組みへの意識が高い会社と言えます。

なお株価が割安か割高なのかの判断は、PER(株価収益率=株価÷一株当たり利益)やPBR(株価純資産倍率=株価÷一株当たり純資産)、配当利回りなどで確認してみたらいいと思います。

会社の取り組みや経営の考え方が理解できないのであれば、無理して投資する必要はありません。そのような銘柄は、株価が下がると心配の種を増やすだけです。個人向けの企業説明会でお話を聞いてみたらいいと思います。

株価は変動するものであり、株式市場は弱気強気が交差するものでありますので、慌てて投資することはないと思います。日本には上場企業が3,000社以上もあります(2017年3月末3,552社。東京証券取引所月報2017年3月号」)。株式投資は知的な趣味となりますので、ゆっくりと銘柄を発掘してみたらいいと思います。ぜひ企業のIRページを活用し、株式投資で資産運用を楽しんでいただければと思います。

(山川学和)

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