アナリストのつぶやき

2017年4月14日

なぜ広告、PRでなく、IRなのか?

辞典を調べて、広告、PR(広報)、IR(インベスター・リレーションズ)について、各々「誰に」「何のために」「何をするのか」で比較してみました。広告は「人々に(消費者に)」「関心を持たせ、購入させるために」「(有料の媒体を用いて)商品を宣伝する」こと、PR(狭義の「広報」)は「一般の人々に」「事業内容や活動状況を広く知らせ」、「理解を求める」こと、そしてIRは「投資家に」「資金調達などのための」「広報活動」(広義の「広報」)と、対象が各々異なっています。

また社会や人々が変化してきている中で、広告や広報は、商品や指向、自社などについて市場調査しながら、その戦略の見直しが行われています。これに対して、IRについてみると、決算短信や有価証券報告書のフォーマットが変わらず、開示セグメントも変わらないことから、決算説明会および同資料も前年度の実績を踏襲しているケースが多くみられます。

世の中の移り変わりが激しいことを「十年一昔」といいますが、現代は2~3年でも刻一刻と変化しています。世の中の動きだけでなく、企業の事業環境も変化しています。その中で、なぜ決算説明会や説明会資料を変えずに、過去を踏襲することで投資家に自社を理解してもらえると思うのか、不思議であります。逆に変化に対応することを嫌がる傾向が強い気がいたします。IR担当者はデータのアップデート、説明会を滞りなく実施し、問い合わせが来た投資家にきちんと対応することで、満足しているのでしょうか。企業の理念やモットーは普遍的で、あまり変えることはありませんが、具体的な戦略や方策は刻一刻と変わってくるはずです。

広告部門は自社の販売への寄与、広報部門は自社の好感度や知名度向上への寄与に貢献しなければ、各々責任を追及されます。ではIR部門はどうでしょうか。株価が下落したら、なぜかと問い合わせがあるものの、株価が上昇しなくてもどちらかといえば責任の所在があいまいです。株価は市場が決めるものであるからと言うのが理由であります。しかし自社の実力をきちんと株価に反映させているのでしょうか。

IRは経営と投資家との対話の重要な方法でありますが、投資家が自社にどのようなものを求めているのか、理解できなければ、市場と対話できたとは言えません。市場の求めるものに対して、きちんと対応していかなければ、当然市場に評価されません。また自社の方針をきちんと伝えなければ投資家には理解されません。投資家は企業の社会的責任などについて非常に敏感ですが、同時に、会社の資産をマネジメントに預託して、きちんとしたリターン=収益を上げてもらうことを期待しています。つまり株主資本を有効に活用して、利益を出す事業を進めてもらいたいと考えています。その意味では単純な指標であるが、株価が一株当たり純資産を下回る会社とは、市場からその会社の資産が有効に活用されていないとみられているとも言えます。マネジメントは収益力を高めるのが難しいのであれば、自社株買いや配当金により、株主資本を積み上げずに、株主に還元することを考えてもいいのかもしれません。そのくらい割り切って考えてみたらいいのではないでしょうか。

またIR部門は、自社の評価=株価を高めてもらうためには、マネジメントに対して投資家の判断、見方をきちんとフィードバックし、経営に対してものを言うつもりでなくてはならないと考えます。当然株主総会が最高の決定機関ではありますが、投資家の意見を随時経営陣に届けることができるのもIR部門であると考えます。投資家とマネジメントとの双方向のやり取りを少人数のIR部門で担うことは大変ですが、そのサポートを行うのがIRコンサルティング会社であります。

是非、個人投資家、機関投資家を含め、広範囲な投資家層との接点を持ち、市場との積極的な対話を行っていただきたいと思います。

 (山川 学和)

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