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2016年8月 8日

いま株主・投資家に求められるIRサイトのあり方とは?(第1回)サイトの利便性(操作性と有用性)を高める

弊社は日興アイ・アールと協働して多くのクライアント企業のサイト構築を支援していますが、最近IRサイトないしコーポレートサイトのリニューアルのご依頼が急増しています。ご要望はさまざまですが、株主・投資家とのコミュニケーションをより円滑にするためには「株主・投資家目線での改善」は大前提となります。当社ではIRサイト内のアニュアルレポートや統合報告書などの和文・英文を中心に多言語に展開するコンテンツ、株主通信などの個人投資家向けコンテンツなどの企画制作を長年にわたってお任せいただいてきましたが、各社の独自性理解促進を前提に戦略とその進捗を解りやすく伝えることに力点を置いています。このような定性情報の充実を支援しながら、サイト構築においては株主・投資家目線で、いかに利便性を高めるかを企画の注力点にしています。

それでは実際に、リニューアル後はアクセスが急増した、評判が良くなった、と評価されるサイトとはどういうものでしょうか?株主・投資家目線で見た解りやすさを向上させ、さらに発信側(企業)、受信側(さまざまな属性の株主・投資家)双方の利便性を高めるにはどうすべきなのでしょうか。

今後三回に分けて考察していきます。まずはサイトの利便性の観点から。

第1回:サイトの利便性(操作性と有用性)を高める

1)レスポンシブウェブデザインの導入

いまや企業サイトには、スマホやタブレットなどのモバイル端末対応が必須といえます。モバイル対応の手段として、以前はPC用サイトとは別にスマホ用に別サイトを用意することが一般的でしたが、現在は1つのサイトでありながら端末ごとに表示を最適化できるRWD(レスポンシブウェブデザイン*1 )を選ばれる企業が増えています。

レスポンシブウェブデザインについて、その導入メリット/デメリットを簡単に整理してみました。

【メリット】

「1つのサイト」として管理・更新できる
レスポンシブウェブデザインで設計されたサイトは1つのサイトです。このため、PCサイトと別にモバイルサイトを作成するよりもメンテナンスの作業工数が軽減でき、労力・コスト削減につながります。また適時開示情報など、同時に、正確に更新しなければいけない場合、PCサイトとモバイルサイトの情報が違う、といったヒューマンエラーによるリスクも回避することができます。

多様なサイズのデバイスに最適化できる
最近はスマホやタブレット端末の画面サイズが非常に多様化しています。モバイルサイトを作るにしても、どの画面サイズを「モバイル」として想定すべきか悩ましいのですが、レスポンシブデザインのサイトなら画面サイズに合わせて何段階かに表示を変え、タブレット表示でも縦と横でそれぞれ使いやすく美しいデザインにすることが可能です。

【デメリット】

制作工数・コストがかかる
レスポンシブサイトのUI(ユーザーインターフェイス*2)デザインやサイト設計、HTML(ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ*3)コーディングには通常のPCサイト制作よりも時間と手間がかかります。PCサイトとモバイルサイトを別々に作る場合と比べて、サイト立ち上げ時にかかる工数はざっと1.5~2倍になり、それに伴ってコストも増加せざるを得ません。

データの容量が大きくなる
レスポンシブサイトのCSS(カスケーディング・スタイル・シート*4)やHTMLには多くのことを記述しなければなりません。また、スマホ用に画像サイズを大きく作る必要もあるため、どうしてもデータの容量が大きくなってしまいます。サーバや通信環境によっては表示速度が遅くなる可能性があるので、制作にあたっては注意が必要です。

2)株価・業績表示ツールの導入

株価表示については必須ではないものの、海外のIRサイトでは標準機能であり、いちいち株価を確認する手間を考えると、利便性の観点からも導入することをおすすめします。株価表示は、IRサイトのどのページからも常に見える場所に配置しておく必要があります。

株価表示、業績表示ツールは、複数社より自社HPと連動可能なサービスが提供されており、株価に関してはこうした既存サービスを使うのが一般的です。業績表示については、戦略上重要な指標などは各社異なるので、直近の重要指標が一望できるようにしたいところです。表示項目やデザインの自由度が必要になることも多く、独自のツールを活用するほうがいい場合もあります。カスタマイズの必要性、英語対応の要不要や費用対効果によって、最適なツールを選択することをおすすめします。

3)適時開示ツールの導入

IRサイトでの適時開示においては迅速な対応が必要なうえ、機密情報を取り扱うことから、一切のミスが許されません。このため、コーポレートサイトの運用を外部の会社に委託する企業にとって、ウェブでの適時開示は常に大きなリスクがともないます。そこで通常のコーポレートサイトやIRサイト運用とは別に、HTMLの知識がなくても適時開示情報を発信することのできる、適時開示ツールを利用する企業が増えています。私たちも、社内でのサイト運用機能を持たないお客様には適時開示ツールの活用をおすすめすることが多いです。適時開示ツールは、TDnet (適時開示情報伝達システム)やEDINET (有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)から取り込まれた適時開示情報を自動的に自社サイトに表示します。また、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム*5)と同様に、管理画面から任意の開示情報を入力して、スケジュールどおりに公開することもできます。適時開示ツールはIR目的に特化した必要な機能を手軽に短期間で導入することができ、また、TDnet やEDINETとの連携機能もあることから、コーポレートサイトのCMSとは別に導入するケースも珍しくありません

以上、第一回はまず「利便性」の観点から技術的なことを中心にご紹介しました。

用語解説

*1 RWD(レスポンシブウェブデザイン)
パソコンやスマートフォンなどあらゆるデバイスに対して1つのHTMLでデザインや操作性を最適化したウェブサイト。デバイスの画面幅に応じて、レイアウトが切り替わる。

*2 UI(ユーザーインターフェイス)
ユーザーとコンピューターの間で情報の受け渡しを行うための方法や操作、表示の仕組みの総称。ハードウェアではキーボードやマウス、ディスプレイなど、ソフトウェアでは主に画面上でボタンをクリック・タップする操作方法などを指すが、画面表示にとどまらず音声読み上げ機能なども含む。

*3 HTML(ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ)
ウェブページを作るための基本的なマークアップ言語。ウェブの基本機能であるハイパーリンクによって、他のウェブページに遷移することができる。

*4 CSS(カスケーディング・スタイル・シート)
HTMLと組み合わせて、ウェブページの見栄えを設定する言語。

*5 CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
WEBのテキストや画像などのデジタルコンテンツを統合・体系的に管理し、配信など必要な処理を行うシステムの総称。一般には、専門知識が必要な部分は全てシステム側に制御させて、テキストや画像などの情報のみを入れて簡単にWebサイトを更新することができるシステムを指す。汎用的なものから特定の目的に特化したものまで様々あり、企業向けのものは公開期間の時間管理や、公開を承認する機能、バージョン管理などの機能がある。

第二回は「投資家が求める情報をわかりやすく発信するために」をテーマに考察します。

(株式会社ブレーンセンター取締役 中村 佳正)

http://www.braincenter.co.jp/

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