アナリストのつぶやき

2017年1月30日

貴社のIR活動は機能していますか?(第1回)

「当社のIR活動はきちんと機能しているのだろうか」

「当社のIR活動に本当に存在意義はあるのだろうか」

IRパーソンであれば、おそらく一度はこういった疑問に直面された方も少なくないのではないでしょうか。IRは市場への積極的な情報発信がその主たる業務ですが、そのための準備や社内調整・折衝、数字の確認などは大変な作業量であり、かなりの負担が要求されるポジションでもあります。しかし、その成果を明確に確認できる手段はなく、日々の活動が上手く回っているのかどうかは実はよくわからない、というのが本当のところでしょう。とはいえ、社会人としては、当然、効果の程が気にならざるを得ません。多くはその不安を抱えたまま、IRカレンダーに沿って日常の膨大な業務に追われているというケースが現実であると推察しています。

ただし、この疑問に対する解答は、とっくに出ています。「株式を公開している以上、IRの存在意義は明らか」、「IRの成果は短期に発現するものではなく、効果も定量的に計られるものでもない」、などです。しかし、これらの解答がIRパーソンの疑問・懸念を完全に払拭できているかと云えば、残念ながらそうなっていないこともまた事実でしょう。IRパーソンはこの解答とその真意を理解しつつも、この模範解答と現実との間にかなりの距離を感じているというのが本音ではないでしょうか。ここでいう現実とは、IR活動をしなくとも株価はそれなりに合理的な水準に収斂されている、IRを続けていても株価の大きな変動は制御できない、どれだけ情報を発信しても、ものすごい情報量の中で埋もれてしまいかねない、明らかに知識の浅い投資家やアナリストが存在している、といったことなどです。それらは模範解答に直接結びついていないように思え、上記の疑問が生じてくるという事態に至っているのだと想像します。筆者がこういった悩み・本音をIRパーソンから相談された例は決して少なくありません。

筆者はこういった時、目標設定に課題があるのではないか、と指摘します。そもそも、模範解答は究極的かつ理想的なゴールであり、現実との間にギャップが生じるのは当然です。この模範解答をそのままゴールに設定してしまえば、遠い理想は見えるものの、果たして進んでいるのかどうかさえ、わからなくなってしまいます。そこで、もう少し具体的かつ現実的なところに明確な目標と狙いを設定するべきでは、と申し上げるのです。例えば、理想として五輪出場をゴールに設定したアスリートは、そのために達成目標を多段階的に設定し、狙いと目的を明確に絞ったトレーニングを積み重ねていきます。五輪出場はその蓄積の先にあるものです。IR活動も同様のステップを踏みましょう、ということです。こうすることが、着実にIR活動を充実させることに繋がり、成果もまた見えやすくなってくるものと考えます。

本コラムでは、今後さらに実例を挙げて、IRパーソンの悩みと本音について取り上げて行く予定です。次回は「どうしたらアナリストに取り上げられ、レポートを書いてもらえるか」についてお話ししたいと思います。

IR活動の参考にしていただければ幸甚の極みです。

(長井 亨)

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